貴族院(きぞくいん、)は、イギリスの議会を構成する議院で、上院に相当する。中世にイングランド議会から庶民院が分離したことで成立。貴族によって構成される本院は、公選制の庶民院と異なり、非公選制であり、終身任期である。議会法制定以降は立法機関としての権能は庶民院に劣後する。1999年以降は世襲貴族の議席が制限されており、一代貴族が議員の大半を占めている。かつては最高裁判所としての権能も有していたが、2009年に連合王国最高裁判所が新設されたことでその権能は喪失した。貴族院の歴史貴族院の成立イギリスの統治機関の多くは1066年のノルマン・コンクエスト後に創設されたイングランド王の封建的臣下である(貴族)によって構成される国王諮問機関キュリア・レジス(国王裁判所の意)から分化したものである。イギリスの議会であるパーラメント(Parliament of England)もその一つである。ジョン王が1215年に発布したマグナ・カルタ12条は国王はキュリア・レジスの大会議である全般諮問会議(commune consilium、パーラメントはこれの特定の会合として発足)の同意なく、課税してはならない旨を定めている。パーラメントも初期には直属受封者のみで構成されていたが、12世紀から13世紀にかけて陪審員制度の確立(代議制への萌芽)、地方自治体の発展に伴う封建勢力の後退、騎士や市民などの中流階級の勃興、国王と貴族の対立などが起こり、そのような背景から13世紀にイングランド王はパーラメントに州や都市の代表を加えるようになった。これによってパーラメントは代議制議会の性格を有するようになった。
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